トヨタの電気自動車について語るとき、全ネットで「キャプチャコード」と揶揄されたbZ4Xが真っ先に思い浮かぶかもしれません。一方で、プリウスPlug-in Hybridやカローラ双擎E+を知る人はいるものの、RAV4双擎E+については聞いたことがない人が多いでしょう。

トヨタはハイブリッド車を世界市場に普及させることに全力を注ぎ、世界首位の地位を確立してきましたが、新エネルギー車（NEV）の開発においては存在感が薄いという課題に直面しています。

e-TNGAプラットフォームを基盤にした初のモデルであるbZ4Xがグローバルリコールという逆風に見舞われた後、トヨタは再び慎重な姿勢に転じました。その結果、ビジネス戦略を再考し、BYDとの協力が正式に実現。BYDの電動技術を基に開発された一汽トヨタbZ3が2023年に正式発売されました。この一連の動きは、トヨタが世界最大のNEV市場である中国市場で行った一つの試み、または試行錯誤と言えます。一汽トヨタがbZ3を主にライドシェアや営業車両市場に投入した一方で、2025年には本格的に中国市場へ電動スマートカーを軸に挑む準備を整えています。

トヨタの「南北戦略」と中国市場へのアプローチ

一汽トヨタと広汽トヨタは長年にわたりトヨタのグローバルモデルを導入してきましたが、現在ではそれぞれBYDや広汽集団の電動技術を基に、中国市場向けNEVを開発しています。bZ3に続き、bZ3C、铂智3X、铂智7が年内に次々と登場する予定です。

競合他社から「薄い鋼板」「安全性が低い」といったネガティブキャンペーンがある中、トヨタの車両製造へのこだわりは世界の自動車メーカーの中でも突出しています。

一方で、トヨタの強みである製造技術とは対照的に、センターディスプレイ、スマートキャビン、LiDARを用いた自動運転技術はこれまで苦手分野とされてきました。それにもかかわらず、2025年には中国NEV市場においてトヨタが驚きをもたらすと見られています。

特にトヨタはMomentaの先進運転支援システムや、華為（Huawei）のスマートキャビン技術を採用した新型車をいち早く中国ユーザーに届ける計画です。トヨタの品質が中国トップレベルの電動技術と融合し、最先端の装備を搭載したトヨタ車が登場すれば、競合他社や市場の懐疑的な視線はやがて止むでしょう。

NEVにおけるトヨタの哲学と競争力

欧米メーカーが小排気量ターボエンジンや3気筒エンジンの開発に力を注いでいる中、トヨタはハイブリッド車と内燃機関車の価格競争力を実現しました。また、自動運転がマーケティングの流行語となっている間にも、トヨタはほぼ全車種にL2レベルの運転支援システムを標準搭載してきました。

これはトヨタの車両製造哲学と実力の象徴であり、中国自動車産業のスピード感を反映しています。さらに、中国市場がグローバルメーカーの変革と突破にとっていかに重要な役割を果たしているかを示しています。

トヨタが「時代遅れ」「NEV市場に適応できていない」と批判される理由は、優れたハイブリッド技術を保有しているためであり、これは純粋電動化を加速する世界のトレンドと対立しているように見えるためです。しかし、トヨタがグローバル販売首位を維持している事実は、競合メーカーや市場からの嫉妬や不満を生む要因ともなっています。

2025年、中国市場でのトヨタの新たな挑戦

トヨタは、単に数台の人気モデルを販売するだけではなく、グローバル市場とユーザーに向けた車両を安定的に供給する長期戦略を掲げています。

2025年、トヨタは中国市場でNEVへの強いコミットメントを示し、NEVをユーザーにとって「やむを得ない選択」や「一時的なトレンド」ではなく、「本当に欲しいクルマ」として位置付けようとしています。

BYD、中創新航(CALB)、華為（Huawei）、小馬智行、Momentaといった中国のテクノロジー企業との提携が、トヨタ2025年型NEVの大きなセールスポイントとなるでしょう。競合他社が短期的な利益を追求する中、トヨタは中国NEV市場での成長の果実を収穫し、最終的に笑うのはユーザーに価値を提供できたメーカーであることを証明する構えです。

bZ4Xが一汽トヨタと広汽トヨタで同時生産・販売され失敗した後、トヨタは南北トヨタのNEV戦略を分離しました。一汽トヨタはトヨタのグローバルデザインとBYDの電動技術を融合させたNEVを採用し、広汽トヨタはトヨタの技術に加え、広汽集団の電動技術を取り入れたモデルを開発しています。

一汽トヨタのNEVがグローバルモデルを基にした三者協力の成果であるのに対し、広汽トヨタのNEVは広汽集団との連携強化の象徴と言えるでしょう。どちらが成功するかは未知数ですが、それぞれのアプローチが市場に与える影響は興味深いところです。

2021年以降、トヨタは3つの新工場を建設し、高級モデルであるクラウンシリーズや全新モデルを相次いで中国市場に投入しました。また、カローラ クロスやフロントランダーといったグローバルモデルを本格展開する中、中国市場向けに特化したNEVの開発にも注力しています。

トヨタは、グローバル規模のハイブリッド技術を背景に、中国市場でのNEV競争においても確固たるリーダーシップを確立しようとしています。

これは、中国自動車産業のリソースを活用した結果であり、トヨタが2025年以降のNEV市場で優位に立つための重要なステップとなるでしょう。